神開の書棚⑥

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読めば確実にあなたの血となり肉となり、
さらには武器にもなるであろう書籍を毎回一冊ご紹介。

 

今回取り上げるのは、こちら――

 

阿川佐和子著『聞く力』(文春新書、2012年)

 

前回このコーナーで、池上彰さんの『伝える力』を取り上げましたが、

今回取り上げるのは、阿川佐和子さんの『聞く力』。

 

「伝える」と「聞く」。

 

一見正反対の「力」をそれぞれで語っているようにも
思えますが、読んでみるとまったくそんなことはなく、

 

同じことを別の視点から語っていることに気づきます。

 

「伝える力」を身につけるためには、
まず相手の言うことをよく聞き、
それを自分の中で十分咀嚼し、

 

分かりやすい言葉に置き換えることが必要と
池上さんは説かれます。

 

一方、阿川さんの「聞く力」とは、単純に話を聞いて
それを理解するというようなことではなく、

 

その対話において、最大限の効果を導き出すための
ファシリテーション能力のようなものを意味しており

 

そのために必要なのは、ただ耳を傾けるだけではなく、

聞いたことを自分というフィルターを介すことで、

 

共鳴板のように増幅していくことだと
この著書の中で述べられています。

 

このように「伝える力」と「聞く力」は

立ち位置は真逆でありながら、

実はこれらはワンセットであり、
どちらかだけに偏るものではありません。

 

伝える力のある人は、聞く力があり、
その逆もまたしかりと言えるでしょう。

 

その証左と言えそうなのが、阿川さんの流麗と呼ぶに
ふさわしい文章です。

 

ユーモラスでありながら品位に満ちた言葉遣い、
巧みなストーリーテリング、謙遜さの中に見える
高い知性と人間性…など、


余人をもって替えがたいものがそこにはあり、
僕が言うのもなんですが、これぞまさに現代の名文。

 

その行間からは、類まれな才能の横溢が感じられ、

読んでいて惚れ惚れとさせられます。

 

池上さんや阿川さんのこの本が大ヒットしたせいで、
世には「○○力」というタイトルのビジネス本や
ハウツー本で溢れかえっていますが、

 

それらとの一番の違いはここにあると言えます。

 

「伝える力」が阿川さんの文章には
みなぎっているのです。

 

しかし、その美文・達文にばかり目を奪われて
いてはいけません。

 

そこから、「聞く極意」を帰納的に獲得して
いくことが必要です。

 

そのために必要な能力が何かと言うと、
もうお分かりかと思いますが、「聞く力」です。

 

本書の最終章に記された、作家の遠藤周作さんの
以下の言葉は、阿川さんの人生の指針の
言葉だそうですが、

 

このことをよく言い表しています。

 

「一見、躁病的軽薄に見えるこの話のなかに、
実は奥深い意味と象徴を見つけることのできる読者と、

それができない読者とがいるでしょう」

 

「聞く力」を持つ人とは、もちろん、

それができる読者のことであり、

この本もそのように読まれることを望んでいます。

 

美文に心の耳を澄ます――、そんな今や懐かし、
僕の文学マインドを刺激してくれた一冊です。

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